制度・法改正

育成就労制度とは?2027年4月開始、技能実習との違いと企業の準備

公開日:制度情報の最終確認日:2026年10月26日

この記事の要点

  • 育成就労制度は2027年4月1日に始まり、技能実習制度に代わります。目的は「人材育成と人材確保」で、3年間で特定技能1号の水準の人材を育てます。
  • 本人の意向による転籍が、一定の条件で認められます。飲食料品製造業は原則2年ですが、受入れ企業の判断で1年に短くできます。
  • 施行前の申請はすでに始まっています。育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から受け付けています。
  • 今すぐ人手が必要なら特定技能1号、3年かけて育てるなら育成就労、という選び方が基本です。

技能実習制度は、2027年4月1日から「育成就労制度」に変わります。施行まで半年を切り、施行前の申請もすでに始まっています。

この記事では、食品製造業をはじめとする受入れ企業の方に向けて、2026年10月26日時点で公表されている内容を整理します。決まっていることと、まだ決まっていないことを分けて書いています。

育成就労制度とは

育成就労制度は、2024年6月21日に公布された改正法(令和6年法律第60号)によって設けられた制度で、2027年4月1日から運用が始まります。技能実習法は「育成就労法」に改められます。

技能実習は「技能移転による国際貢献」が目的でした。育成就労の目的は、人手不足の分野での人材育成と人材確保です。原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準の技能を持つ人材を育て、その分野で働き続けてもらうことを目指します。

基本的な仕組みは次のとおりです。

  • 外国人ごとに「育成就労計画」を作り、外国人育成就労機構の認定を受ける
  • 受入れの方法は、監理支援機関を通す「監理型」と、海外の支店などの職員を受け入れる「単独型」がある
  • 対象は「育成就労産業分野」の17分野で、特定技能の分野とそろえられている(特定技能だけの分野は自動車運送業と航空)

技能実習との違い

項目 技能実習 育成就労
目的 技能移転による国際貢献 人材育成と人材確保
期間 最長5年(1号・2号・3号) 原則3年以内
対象 職種・作業ごと 17の育成就労産業分野(特定技能とそろえる)
本人の意向での転籍 原則できない 一定の条件でできる
入国時の日本語 介護などを除き要件なし A1相当の試験に合格、またはA1相当の講習(100時間以上)を受講
受入れを支える機関 監理団体 監理支援機関(許可の基準を厳しくし、新たな許可が必要)
送出機関の手数料 本人が多額を負担する例があった 本人負担は月給の2か月分までとし、超える分は受入れ企業などが負担
受入れ人数の上限 分野ごとの上限はない 分野ごとに受入れ見込数を上限として運用
特定技能への移行 2号を良好に修了すると試験免除 技能と日本語の試験に合格して移行(免除はない)

監理団体が育成就労でも同じ役割を続けるには、監理支援機関として新しく許可を受ける必要があります。取引先の監理団体が許可を受けているかどうかは、早めに確認しておきましょう。

施行までのスケジュール

時期 できごと 状況
2024年6月21日 改正法の公布 決定
2026年1月23日 分野別運用方針の閣議決定(受入れ見込数・転籍の期間など) 決定
2026年4月15日 監理支援機関の許可の施行日前申請の受付開始(外国人技能実習機構) 受付中
2026年4月30日 飲食料品製造業分野の上乗せ基準(農林水産省告示第649号) 決定
2026年6月2日 タイとの育成就労に関する協力覚書(MOC)の作成 決定
2026年9月1日 育成就労計画の認定の施行日前申請の受付開始(外国人技能実習機構) 受付中
2026年10月19日 有識者会議で分野別運用方針の改正案を提示 案
2027年3月31日 経過措置として技能実習計画の認定を申請できる期限 決定
2027年4月1日 育成就労制度の施行 決定
2027年6月30日 経過措置の技能実習を始められる期限(施行日から3か月以内) 決定
2029年3月末 現在の受入れ見込数の対象期間の終わり 決定

今いる技能実習生はどうなるか

  • 施行日の時点で技能実習をしている人は、認定済みの計画のとおり技能実習を続けられます。
  • 2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、施行日から3か月以内に始める計画であれば、施行日以後も技能実習生として入国できます。
  • 技能実習から育成就労へ切り替えることはできません。
  • 3号への移行は、施行日の時点で2号を1年以上行っている人に限られます。

本人の意向による転籍

育成就労では、次の条件を満たせば、本人の意向で受入れ先を変える(転籍する)ことができます。

  • 同じ業務区分の中での転籍であること
  • 分野ごとに決められた期間(1〜2年)、今の受入れ先で働いていること
  • 技能の試験(育成就労評価試験の初級など)と、日本語の試験(A2.1相当以上)に合格していること
  • 転籍先が、優良な受入れ機関であることなどの条件を満たすこと

飲食料品製造業の転籍制限の期間は原則2年です。ただし、受入れ企業の判断で1年に短くできます。飲食料品製造業で1年を超える制限を設ける場合は、協議会への加入の際に、育成就労外国人の昇給に関する誓約書の提出が求められます。

また、転籍してきた人は、原則として転籍先の育成就労外国人の3分の1を超えてはならないなどの決まりがあります。転籍先は、転籍元が負担した初期費用の一部を補う仕組みも設けられますが、金額は今後告示で定められる予定です。

特定技能1号への移行

育成就労を終えて特定技能1号に移るには、次の二つに合格する必要があります。

  • 技能:技能検定3級等、または特定技能1号評価試験
  • 日本語:A2.2相当以上の試験(日本語能力試験N4、国際交流基金日本語基礎テストのA2.2など)

技能実習2号を良好に修了した人のような試験の免除はありません。試験に合格できなかった場合は、再受験のために最長1年の在留が認められます。

特定技能1号に移ると、受入れ企業には1号特定技能外国人への支援の義務が生じます。この支援は、登録支援機関に委託するか、自社で行うことになります。

飲食料品製造業で受け入れる場合

項目 内容
受入れ見込数(2029年3月末まで) 育成就労 61,400人/特定技能1号 133,500人
転籍制限の期間 原則2年(受入れ企業の判断で1年に短縮可)
対象となる事業所 食料品製造業のほか、清涼飲料・茶・コーヒー製造業、製氷業、食料品の製造を行う食肉小売・スーパーマーケット、菓子やパンの製造小売など(告示第649号)
雇用契約のとき 外国人のキャリアアップ計画を書面で交付し、説明する
協議会 食品産業育成就労協議会に、育成就労計画の申請より前に加入する

農林水産省の案内では、協議会の加入証が届くまで全体で2〜3か月程度かかるとされています。入会金と年会費は当面かからないとされています。すでに特定技能の協議会に加入している場合も、育成就労の協議会への加入手続きが必要かどうかを確認しておきましょう。

なお、10月19日の有識者会議では、病院や介護施設などの給食を飲食料品製造業で受け入れる案が示されています(特定技能の給食についての記事)。飲食料品製造業の対象は今後変わる可能性があります。

タイ・ラオスから受け入れる場合

  • タイ:2026年6月2日に、日本との間で育成就労制度に関する協力覚書(MOC)が作成されました。
  • ラオス:申請のときに、送出国の公的機関が作成した推薦状を対象者ごとに提出する必要がある国に含まれています。

育成就労では、原則として二国間の取決めを作成した国から受け入れます。国ごとに手続きが違うため、受け入れる国を決めたら、送出しの手続きと必要な書類を早めに確認しておきましょう。

特定技能と育成就労、どちらを選ぶか

こんな場合 合う制度
すぐに働ける人が必要。試験に合格した人を採用したい 特定技能1号
未経験の人を、3年かけて自社で育てたい 育成就労
長く働いてもらいたい どちらも可能。育成就労から特定技能1号、2号へと続けられる

監理型の育成就労の受入れでは、雇用関係の成立のあっせんと監理は、監理支援機関が担います。ラムナーリンクは監理支援機関ではないため、育成就労の監理やあっせんは行っていません。特定技能1号での採用(外国人材紹介)と、特定技能に移った後の支援(登録支援)をお引き受けしています。

今からできる準備

時期の目安 やること 確認先
今すぐ 自社の事業所が対象の業種に当たるかを確認する 分野ごとの上乗せ告示
今すぐ 特定技能と育成就労のどちらで受け入れるかを決める 社内(採用計画)
今すぐ 取引先の監理団体が、監理支援機関の許可を受けているか確認する 監理団体・外国人技能実習機構
計画申請の2〜3か月前 分野別の協議会に加入する 協議会(飲食料品製造業は農林水産省)
計画申請の前 キャリアアップ計画、昇給の考え方、日本語の講習を決める 社内・監理支援機関
受入れの数か月前 育成就労計画の認定を申請する 外国人技能実習機構(施行後は外国人育成就労機構)

まだ決まっていないこと

2026年10月26日時点で、次の点はまだ公表されていないか、変わる可能性があります。

  • 転籍のときに転籍先が負担する初期費用の金額(今後告示で定める予定)
  • 育成就労の在留資格認定証明書の申請を受け付け始める時期
  • 10月19日の有識者会議で示された、分野別運用方針の改正案の扱い

ラムナーリンクの見方(制度の説明ではなく、私たちの考えです)

転籍ができるようになることを心配される企業は多いと思います。ただ、転籍の条件には試験の合格や働いた期間があり、いつでも自由に移れるわけではありません。むしろ、働く条件や仕事の内容を入社前にきちんと伝え、入社後の困りごとに早く気づける職場ほど、人は残ってくれると考えています。3年間の育成の計画は、働く人にとって「この会社で何ができるようになるか」が分かるものにすることが大切です。

よくある質問

育成就労はいつから始まりますか?

2027年4月1日です。監理支援機関の許可と育成就労計画の認定は、施行前の申請がすでに始まっています。

今の監理団体は、そのまま使えますか?

育成就労で同じ役割を続けるには、監理支援機関として新しく許可を受ける必要があります。取引先が許可を受けているかを確認してください。

日本語の要件「A1相当」は、日本語能力試験のN5と同じですか?

公式資料では、就労を始める前に「A1相当以上の試験に合格する」か「A1相当の講習を100時間以上受ける」ことが求められています。具体的にどの試験が該当するかは、運用要領などで確認してください。

今すぐ人手が必要な場合はどうすればよいですか?

育成就労の開始を待たずに、特定技能1号で採用する方法があります。試験に合格した人や、国内にいる特定技能の人を採用できます。

技能実習2号の修了者のように、特定技能に移るときの試験は免除されますか?

育成就労から特定技能1号に移る場合、試験の免除はありません。技能と日本語の試験に合格する必要があります。

まとめ

育成就労制度は2027年4月1日に始まり、施行前の申請はすでに始まっています。飲食料品製造業では、協議会への加入に2〜3か月かかるとされているため、受け入れを考えている企業は、対象業種の確認と協議会の加入から始めるのが現実的です。

すぐに人手が必要な場合は、特定技能1号での採用も選択肢になります。どちらが自社に合うか迷う段階でも、お気軽にご相談ください。

この記事は、公開日または更新日の時点で確認できた情報にもとづく一般的な説明です。制度は変わることがあります。個別の事案は、出入国在留管理庁などの関係機関や、行政書士・弁護士などの専門家にご確認ください。編集方針

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